DIARY

128日目・北海道（利尻島）　〜昆布バイト30日目〜

今日も僕は一日ハサミでチョキチョキの製品加工。

だと思ったあなた。

甘い甘い。

僕がいつまでもハサミでチョキチョキの製品加工のはずがない。

今日朝僕は父さん、いや、親方、いや、社長に特命を命じられた。

特命といっても普段はさえないサラーりーマンを演じ、ラストは格闘シーンをしたりそのあいだにおねーちゃんの裸が出てくるあれではない。

その特命とは「ノシ」だ。

ノシとは折り曲がった昆布をまっすぐにすること。しわ伸ばし。

ついに僕の実力が認められたか。

最初は４等の昆布加工をしていて、今は３等の昆布加工をしている。

けども１等、２等を飛ばして、「ノシ」に昇格だ。

実は昨日親方の父さんに３等の加工をしていたら褒められたのだ。

多分それで今日晴れて移動となったんだろう。

ようやく僕の実力が認められた気がする。

そんなこんなでノシをひたすらやった。手際がよく上手だねと褒められるくらい頑張った。

当り前さ。これは僕じゃないと出来ない・・・いや、僕にしか出来ないこと。

だって僕は「ノシ」のプロだ。通称「ノシプロ」。

僕に任せれば一瞬で昆布をノセル。しかももちろん適当ではない。「美」を兼ね揃えている。

よし、このまま「ノシ」の意地を見せてやる。最終日まで突っ走るぜ！！誰も止めるな！！

しかしやる気とは裏腹にファンがキャーキャー騒いでいる。

おい、おい。うるせーぞ。騒ぎたくなる気持ちは分かるけど集中させてくれよ。

しかし、あまりにもうるさいのでしょうがなく耳を傾けてみた。

すると騒いでいるのはファン・・・ではなく、親方だった。

「MOJI君、３等の加工に今すぐ戻ってくれ！！」

お、おすっ・・・。

ちなみに「ノシ」とはどーいうことをやっているかというと、皆さんご存じだと思いますが昆布は干して乾燥させるとパリパリに硬くなる。

しかしこのとき中にはまだ柔らかかったときに曲がってそのままの形で乾燥してしまったやつも結構ある。

しかしそれを乾燥している状態で無理に曲げたり伸ばしたりすると「パキッ」と折れてしまうのだ。

そうならないために、一度昆布を温めるとそ熱い一瞬だけ柔らかくなる。

そのときにまっすぐにしわ伸ばしをしてやるのだ。

ちなみにこんな状態の奴を。

ノスと、こんなかんじになる。

ちなみにこれがノシ機。ちょー手作り。上にドライアーついてるし。

昆布を温める網がついたヒーター（？）みたいのはあるんだけど、正直この手作りのが全然いい。全体に熱が広がって早く、いっぱいできるから。

今日は天気が悪く風が凄かったけど、昼過ぎから晴れてきた。

けどそーいうおかしな天気ほど、不思議な空に変わりやすい。

今日は雲が変わっていた。

２枚重なった円盤みたいな雲と、利尻山に乗っかった帽子雲。